3行要約

  • キューバの葉巻輸出を独占的に担うHabanos S.A.が2026年1月13日に公表した新価格リストでは、スペイン市場の値上げ幅が前年比4%未満にとどまり、海外の専門メディアは「非キューバ系メーカー並みに抑制的」と評した。
  • 一方、日本国内ではキューバ産葉巻の輸入価格が2021年比で168%上昇したとされ、財務省の審議会資料(2024年3月)は現行の「1品目1定価」ルールがプレミアムシガーの安定供給を阻んでいるとして、輸入業者ごとに異なる定価を設定できるよう制度を見直す案を示していた。
  • この見直し案がその後どこまで具体化・施行されたかは公開情報からは確認できておらず、日本の愛好家・専門店は現行制度の下で高騰する仕入れコストとの折り合いを引き続き迫られている可能性がある。

「抑制的」だった2026年のキューバ産葉巻改定

Habanos S.A.は毎年、市場ごとに卸・小売価格リストを改定しており、2026年版はスペイン市場向けが2025年1月比で4%未満の値上げにとどまったと、専門メディアが350以上のSKU(品目)を分析して報じた。同社は過去数年、原材料費や物流コストの上昇を理由に大幅な値上げを重ねてきた経緯があり、これと比べると今回の改定は緩やかだったといえる。記事は今回の値上げ幅について、非キューバ産葉巻を扱う欧米メーカーの近年の価格改定と同程度の水準に収まったと位置づけている。キューバ産葉巻は世界的な人気と限られた葉たばこの供給量から、近年一貫した価格上昇圧力にさらされてきた製品カテゴリーであり、今回の「抑制」がどこまで持続するかは今後の動向を見る必要がある。

日本だけの事情——“1品目1定価”という制約

日本のたばこ事業法では、製造たばこの小売定価は財務大臣の認可制であり、同一品目を複数の輸入業者が扱う場合でも、原則として1品目につき1つの定価しか設定できない。財政制度等審議会たばこ事業等分科会が2024年3月19日に示した資料によれば、キューバ産葉巻など一部の品目で輸入価格が2021年比168%まで高騰しており、事業者の中には「希望する定価を柔軟に設定できないため輸入を断念する」ケースも出ているという。同資料は、プレミアムシガーはシガーバーなど限定的な販路で高価格帯で販売されるため廉売競争が生じにくいという特性を踏まえ、政令改正によってプレミアムシガーに限り輸入業者ごとに異なる小売定価を設定できるようにする案を検討課題として提示していた。

資料はあわせて、現行の定価変更申請の手続きが煩雑で事業者の負担になっている点も課題として挙げている。世界的にキューバ産葉巻の入手が難しくなり仕入価格が高騰する中、「高騰した仕入価格に応じた定価を柔軟に設定できないか」という相談が事業者側から寄せられている実情が紹介されており、制度と市場実態との間にずれが生じつつあることがうかがえる。

制度見直しの行方はまだ見えない

この資料はあくまで2024年3月時点の検討段階のものであり、その後の政令改正の実施状況や具体的なスケジュールについては、財務省の公開資料から続報を確認することはできなかった。仮に制度が見直されれば、複数の輸入業者が同一銘柄を異なる価格帯で扱えるようになり、円安や国際的な葉たばこ価格の高騰を仕入れ価格に反映しやすくなる可能性がある。日本国内のプレミアムシガー市場は本館サイトが主に扱うシーシャ市場とは異なる制度・流通構造を持つが、たばこ関連の小売価格規制がどのように運用されているかを知るうえで参考になる事例として、研究所では引き続き制度の進展を注視したい。